度が過ぎた親切は時にありがた迷惑。
放浪旅37日目(4月15日目)
朝の9時前に目が覚めた。
ふう、なかなか良い眠りだった。
昨日ガソスタの兄ちゃんにテントを裏のちょっと上がった芝生の場所にテントを張って寝ていいよと言われたから、
思う存分寝させてもらった。
ここは一応日本でいうサービスエリアに近い感じの場所だけど、そりゃ日本に比べると何にもない。
でも一応24時間営業でWi-Fi付きだから僕らには非常にありがたい。
荷物をパパッと片付けて店の中に向かった。
するとセイゴさんはいつも通り先に起きて店内でゆっくりコーヒーを飲んでいた。
ここは山のエリアでもあるから朝方が物凄く寒い。
てかこの時期のアメリカはだいたいどこも寒い。
この日セイゴさんは寒さのせいで6時前にはとっくに起きて店の中へと駆け込んでいた。
つまり3時間も僕のことを待っていてくれたのだ。
少し申し訳ないなぁと思いながら、
めっちゃよく眠れました!!
って満面の笑みで言った。
実際のところ寒いのは朝の5時から6時半までの間だけだ。
つまりその時間帯を踏ん張り乗り切ると楽園が待っている。
そう、セイゴさんにも教えてあげた。
トイレを借りて歯磨きと顔を洗って僕達はさっそくヒッチハイクをする事に。
今日の目的地はSt louisだ。
ここから約400キロもある。
正直なところ今日中に着けるとは思わないけど、まぁ目標は高く持とうって感じで僕らは目指す事に。
ガソスタを抜けて高速道路の入り口に着きヒッチ開始。
う〜ん、ビックリするくらい車が少ない。。
いや、どこも一緒か。
基本的にアメリカは州の中に大きな街が4〜5個あるけど、その間はホント何もない。
もちろん州によって違うけど僕らがいるアメリカの中央部はそんな感じがした。
2時間くらいで捕まればいいかなって思っていながらヒッチをやってると10分くらいで1台目が止まった。
は、はぇぇぇ
てか、これ僕らの前に通る1台目の車じゃない?
まさかの一発目の車が僕らを拾ってくれた。
今日の1台目のドライバーはベンさんだ
ドライバーの名前はメモし忘れちゃったから偽名で。
なかなか良い車に乗っていたからきっとお金持ち何だなぁって勝手に思った。
話をしてると彼も昔ヒッチハイクをしていたことが判明。
やっぱりヒッチの経験がある人は乗せてくれるんだなって思った。
それに彼はかなりのスキー好きで年間に70日くらいは滑るそうだ。
僕もスキーが大好きだしアウトドアの話は得意分野だから話が盛り上がった。
「実は僕もスキーを小学3年生の時に始めて昨シーズンはオーストラリアのスキー場で働いてて、国際スキーインストラクターの資格も取りました。これから日本で外人相手に仕事したいんですよね。後カナダでも仕事したいなぁって考えてます。。あれ、カナダでスキーしたことあります?」
「おぉ、いいじゃないか。日本の雪は素晴らしいって聞くからな。いつか行ってみたいなぁ。おう、カナダには何回も行ったことがあるぞ。もしカナダで働きたいんだったらウィスラーに行くんだな。あそこは最高に良いぞ! ゲレンデもデカイし世界中から人が訪れるんだ。沢山の国際インストラクターが働いているぞ。働かなくても一度は行って滑るべきだ」
彼は僕に強くウィスラーをお勧めしてくれた。
彼の話を聞いて僕はより一層カナダでスキーの仕事がしたいと感じた。
他にもオーストリアやニュージーや色んな国でスキーの仕事がしたいって思うんだけど、そうすると結婚できなくなっちゃうから辞めとこう。
雪質の最悪なオーストラリアのスキー場でも僕は充分に楽しめた。
やっぱり海外のスキー場はホント大きい。
リアル全面滑走可能って感じだ。
まぁ降る雪の量が違うから何だよね。
日本でそんなことしたらディープスノウで全員埋もれて窒息死だ。
そして僕も彼に強く日本のスキーをオススメした。
以外にも多くの人が日本に3000m級の山があって多くのスキー場がある事を知らない。
それに日本は小さい国であるにも関わらず200〜300くらいのスキー場があるスキー大国だ。
もちろんオーストラリア人やキウイのスキーヤーの人達は日本の白馬やニセコなんかは当たり前のように知っているし、現地は外国人でいっぱいだ。
現に僕がオーストラリアの一番大きいPerisherというスキー場で働いてた時に出会ったオージーやキウイで白馬やニセコを知らない人はいなかった。
でも、僕はもっと沢山の国の方に日本に訪れて欲しいと思う。
美しい自然を目当てにね。
会話も弾んだおかげであっというまに彼の街へ続くハイウェイの出口に着いた。
お礼の言葉と写真を撮らせて頂いてると、
彼からスッと50ドルを頂いた。
Safe trip. Enjoy your time
そう言って彼は街へと向かって行った。
僕達は物乞いをしている訳ではないし、お金がない訳でもない。
格好だってちゃんとした良いモノを着てる。
人との出会いを目的にし楽し見たいからヒッチハイクをしている。
もちろん中にはバスで行けっていう人がいるかもだけど、僕らを乗せてくれるのは完全にご縁のおかげでドライバーの御好意だ。
僕はアメリカに来てから彼らの優しさや人柄が物凄く魅力的に感じる。
僕が求めてたのはこれだなぁって。
しっかりお辞儀して感謝の気持ちを伝えて別れた。
ありがとうございます。
僕達は引き続きヒッチを始めた。
近くにはサービスエリアがある。
交通量もぼちぼちで悪くない。
出だしが好調だったからこの感じで次もスムーズに行けばいいなぁって思った。
気がつくと、
2時間が経った。。
あれ、全然止まらないぞ。
う〜んおかしいな。
もういいや!
そう言って僕はリコーダーやウクレレを弾き始めた。
ドライバーから見ても楽器を弾いている方が面白いと思うし、僕は危険な人物ではないですよと伝えるのに良い手段であるとも思った。
まぁ、そんな事は関係なく2台目の車が止まった。
たまたまドライバーと目があって思っ行きり笑顔で親指を立てたら止まってくれた。
やっぱ笑顔が一番やね。
拾っくれたのはペンさん
移動時間はほんの15分くらいだったけど次の高速の出口まで送ってくれた。
ありがとうございました。
降りた場所は出口というか高速と別の高速道路が繋がるジャンクションみたいなところだった。
ここでヒッチをやる以外は僕らに道はないから仕方なくここでヒッチをやることにした。
あー、警察が来たら嫌だなぁって思いながら続行
やっぱ高速だから交通量は半端ない。
やっている途中に2回くらい警察を見かけたけど彼らは全く僕らに気にしてなかった。
きっとオハイオ州が異常なだけだったのかな?
1時間ちょっとで3台目となる車が停まった
拾ってくれたのはジュリーさんだ
たまたま僕らのサインに書いた目的地に行くとの事で乗せて頂いた。
行き先Poseyvilだ。
僕らは刻みヒッチハイクと言ってショートディスタンスで車を乗り継いでいるヒッチをしている。
そうした方が拾ってもらえやすいし、
沢山の人に会うことができる。
だから今回も短い30分くらいの短い距離だったけど色んな話が出来て良い出会いだった。
彼はすごく僕らの旅を応援してくれて羨ましい、俺も若くて時間があったらやってみたいなぁなんても言ってた。
色んな人と会い改めて僕は自分がしている事はホントに楽しいし幸せな事だときづかせれる。
最後に写真を撮らさせて頂くと、
彼の方からも
「君達の写真も撮らせてくれ!」
とお願いされたので満面の笑みで答えた。
職場に戻ったら僕らのことを話すそうだ。
ありがとうございました。
引き続きヒッチを開始すると4台目が30分くらいで停まった
拾ってくれたのはケフさんだ
オフロードを車で走るのを趣味にしているおっちゃんだ。
後ろにはゴリゴリに汚れたっていうか全体が泥で覆われているオフロード用の車を牽引してた。
口数は少ない方で車内での会話はあんまりなかった。
州をまたぎGrayvilleに到着した。
最後にオッチャンからグットラックと言われ別れた。
ありがとうございました。
どこもそうなんだけど相変わらず田舎だ。
全然車が通らないじゃないか。
って思ってると15分くらいで本日5台目が停まった。
拾ってくれたのはポールさんだ
僕らがヒッチをやっていたら随分と大きいエンジン音とガンガンの音楽で僕らの前を勢いよく通り過ぎていった車だ。
正直彼の第一印象と乗っていた車からはちょっと危険人物臭がプンプンして最初は物凄く怖かった。
見た目で判断してすみませんでした。。
でも実際はとても親切な方だった。
僕らがヒッチで目指してた場所は本当に何にもない場所らしく、そんなところで降ろせないよと言われて、彼の目的地とは違うのに70キロくらい先の大きい街まで連れていってくれることに。
彼はクリスチャンで週に4〜5回ほど教会に行くそうだ。
僕は今まで全くの無知だったし宗教の話になるとセイゴさんにバトンパスをしていたけど、少しずつ色んな人会う中で宗教についても理解が出来て来た。
色んな考え方があって面白いと思う。
それにクリスチャンは人に優しいとすごく感じる。
全員がそうなのかは知らないけど僕が会って来た人は全員優しく素敵な方だった。
計1時間ちょっとのドライブを終え目的地に到着。
本当にありがとうございました。
今僕らがいるのはMt vernonだ。
なかなかの大きい街で人も車も盛りだくさんだ。
St louisまではまだ130キロくらい離れてる。
時刻は16時半だから簡単に飯を食べ引き続きヒッチをした。
いつも通り高速の手前で荷物を降ろし親指を掲げた。
場所と交通量だけ見るとかなりのベストポジションなんだけど、
全然ダメやん。。
反応はあるんだけど停まってくれない。
30分くらいすると1台の車が停まってくれたがほんの2マイルくらい進んだ所だったから丁寧にお断りした。
流石にこの時間にここからSt louisまで行く人はいないのかなと不安に思いつつ再開した
1時間が経過
うん、やっぱりダメだ。
止まる気配がしない。
完全に悪い流れになっていたからひとまず気持ちをリセットする為に音楽を聴き始めた。
日本でヒッチハイクをやっていた時は乗せてもらう立場なのに音楽を聞いてヒッチしているのは失礼だし、そういう所を凄く気にしてたけどアメリカでは正直誰もそんなとこを気にしてないし、まず見てない。
僕も気にせずガンガンに日本語ラップを聴いて首を斜め横に揺らしながらヒッチした。
音楽を聴くと気持ちがすごく高まる。
僕は酒やマリファナなんかに頼らなくてもHIPHOPだけでハイになれる。
ハイになった僕は何故か分からないけど、
カンフーもどきをしながらヒッチを始めた。
ドライバーからの反応は過去1で良い。
通常のヒッチはこうやって親指とサインボードを掲げてやるんだけど、
カンフーバージョンはカッコ良さそうなポージングをするだけだ。
そして車が来たらちゃっかり親指を立ててポージング。
ハイや!!
うん、やっている僕が楽しくなっちゃったから30分くらいずっとこんな感じでヒッチをやっていた。
2時間が経過
はい、本日記念すべき2回目の2時間待ち。
あたりは真っ暗になりかけている。
いったい今日僕達は計何時間高速道路の手前に立っているんだろうか?
そして今日どこで寝ようか、
近くにマックはあるだろうかなんて考えてた時だった。
急に一台の車が前に停まり一言
「Where are you going?」
と過去最高クラスの訛りとガラガラ声の持ち主のアメリカ人のオッチャンが現れた。
拾ってくれたのはダンさんだ。
この人はかなり変わった人だった。
St louisまではいかないが半分地点までは行くとのことなので乗せてもらうことに。
車に乗り込もうとすると席は一人分しかない。
ここは先輩のセイゴさんにオッチャンの隣に座ってもらい出発した。
オッチャンはかなりよく喋る。
出発してそうそうにオッチャンのマシンガントークが始まった。
正直僕らはほとんど自分らの事を話してない。
基本ずっと彼が話してた。
僕らが口を開くときは質問に答えるか、日本語の下品なワードを教えてくれって聞かれた時くらいだった。
正直訛りも強いし何を言っているか分からない。
彼が僕らにアメリカのジョークを披露してくれたんだけど、何を話してるのかなんて何1つわからなかったし、オチの部分も突然現れてドヤ顔するもんだから思わず爆笑してしまったら、オッチャンが勘違いして自分の話が面白いのかと思ったのか、そこからアクセル全開で話し出した。
よう、お前ら体のどこの部分が一番最初に天国に行くか知ってるか?
いや〜全然分かりません。
おし、俺が教えてやる。一番最初に天国に行くのは足なんだ。
それは何故かって?
女がイク瞬間は足を上におっ広げるだろう?
だから足なんだ。ガハハハハ
どうだ面白いだろう?
なんて話を永遠とされた。
目的地まで着くとそこは大きなガソスタやマックがあるサービスエリアだった。
到着するとオッチャンが僕らに向かって、
俺がトラックドライバーに交渉してやるよ
と言って僕達を乗っけてくれるドライバーを一緒に探しに行った。
なんだかんだ凄く親切だなって思ったが、そこから事件の連発だ。
オッチャンが車から降りてトラックに近寄って話に行くと早速ケンカしてるじゃないか。
ドライバーにめちゃくちゃに怒鳴られてるし、挙げ句の果てにトラックが僕らの乗っている車に近寄ってくるし、オッチャンは運転手を煽っていて最悪なハメにあった。
このままでは僕らの車がトラックに潰されるんじゃないかって思うくらい詰められた。
そして僕らはその場を後にしお店の方に向かった。
僕はオッチャンに対して、
ここまで連れてきて頂いただけで十分です。
今日はもう暗く遅いんでここに泊まります。
もう、大丈夫ですよ。
と丁寧に伝えるもケンカしたことがキッカケで彼にエンジンがかかってしまいお店の中に入りレストランに行って再び別のドライバーとケンカして、
挙げ句の果てに去り際に大声で、
この勇敢な日本人二人がヒッチでアメリカ横断してるんだ。
誰かSt louisまで送ってくれないか?
と叫んでいるが無反応だ。
僕らはそれを遠いい所で見てる。
親切にしてくれるのはありがたいけど、
ちょっと度が過ぎてるかなって。
2回もケンカして全員から無視された事をキッカケに更にヒートアップしたおじちゃんはマックに行って聞いてやると言った。
おいおい、マジで勘弁してくれよ。
僕らはこれ以上望んでないし最初からここまで来れれば大丈夫と伝えてるし、誰かに聞いてもらえるようお願いしたわけじゃない。
ただ彼にも彼なりに信念があるみたいだ。
俺はフィリピンに行ったんだ。
言語の分からない俺に対して現地の人はみんな親切にしてくれたんだ。
だから俺も人に優しくするんだ。
確かに気持ちは分からなくもないが、
行き過ぎた親切はありがた迷惑にもなる。
僕達は何度もお礼を言い大丈夫と伝えたがオッチャンはなかなか聞いてくれなかった、
最終的には、これはもう俺の意地だと言わんばかりにマックに入って行き大声で叫び始めた。
マジかよ、俺らの居場所ないじゃん。。。
もちろん誰も反応してくれる人はいない。
そのせいでギアがさらに上がったオッチャンは、
よし、俺の家に泊めてやるからウチに来い。
いいかシャワーもあるし安全に寝られるぞ。
そしたら明日俺がお前らを目的地まで送ってやると言われたが、
めちゃくちゃ丁寧に断った。
だがしかしオッチャンは引き下がらない。
そこから40分くらいは同じ会話の繰り返しだ。
あの〜、僕らここで眠るんで大丈夫です。
ダメだ、ウチに来い。シャワーもあるし安全にねれるぞ。
それに俺はフィリピンに行って助けられたんだ
。。。。。
これを何十回ってほど繰り返した。
ようやく痺れを切らしたオッチャンは帰ることに決めた。
思わずホッとした。
帰り際に一言。
俺は警察に捕まっても構わねぇ。
さっきのトラックドライバーぶっ飛ばしてきてやる。
と行って彼は再びガソスタの方に消えていった。
ふう、凄まじいオッチャンだった。
親切にしてくれて僕らの事を考えてくれたのは嬉しいけど、
だいぶやり過ぎだよって。
一応写真は撮った。
いや、ほんとに凄まじく言葉では伝えられない人だった
その後は何とかマックに入り少し充電して溜まりに溜まってる日記をほんの数行書いてキャンプできそうな場所を探しにいった。
いや〜、色んな人がいるな。