アメリカのエド
放浪旅42日目(4月20日)
朝の7時半にパッと目が覚めた。
目覚めるとそこにセイゴさんの姿はなかった。どうやら先に幸せのMへと逃げ込んだみたいだ。
昨晩キャンプ地に選んだ場所はマクドナルドから歩いて15分くらいの山だった。
さすがコロラドというべきだろうか、至る所に山がある。
しかも昨日のドライバーの彼らも何処でもキャンプして大丈夫だよと言っていたので僕らは遠慮なく山でキャンプをしたのだ。
ただ後々気付いたんだけど僕らがキャンプした所は実はNo camp エリアだった。
確かにキャンプや焚き火の後だらけで今まで沢山の人がキャンプしたんだらうなぁっていう痕跡が沢山あった。
たぶんそれできっとNo campになってしまったんだろうって思った。
個人的には最高のキャンプ地だと思ったがセイゴさんにとっては少し不安センサーが反応してたせいか朝早く起きて先にマックにいっていた。
僕もとっとと荷物を片付けマックに向かった。
今日はセイゴさんがカウチサーフィンで宿を確保してくれたおかげで夜はキャンプしないですむ。
昨日の夜にメッセージを送ったらすぐ返事が来たそうだ。
時間は夕方頃という事なので、それまでハイキングなどをして時間を潰す事にした。
まず僕らが向かった場所はキャンプした場所のすぐ横の山だ。
ここはハイキングだったりマウンテンバイクが出来るよう設備されている。
街のすぐ近くだってのに関わらずダイナミックな自然がある辺りコラロドっぽいなぁって思った。
僕らは合計1時間半くらい山に滞在した。
少し岩岩しい山を登ると、
そこにはいい感じの景色が広がっていた。
僕はせっかくだしアメリカに来て初どころか旅を始めて以来初めてとなるドローンの飛行を試みたんだけど見事に充電がなくて飛ばせなかった。
多分ドローンを持っている旅人はみんな一生懸命に飛ばしてインスタにあげるように撮影すると思うんだけど僕はそうじゃない。
ただ単にめんどくさいだけだ。
しかも僕のドローンはDJI MAVIC PRO だから値段も15万円くらいした良いやつだ。
それを一回も使わないなんて僕くらいだろう。
てかほんと邪魔でしかない。
いっそのこと捨てたいくらいだ。
手軽なハイキングだし街からすぐ側にこんな自然が広がっているのはいいことだと。
それに沢山の地元のハイカーやマウンテンバイクをやる人で溢れてた。
良い所だなぁ。
ふと、気がつくとセイゴ氏は寝ていた。
なんだかんだ彼は毎日6時前には起きている。
それに怒涛のキャンプとヒッチ旅で完全に休める瞬間はない。
カウチもやっぱり人の家だし気を遣う事は多くある。
28歳の身体は悲鳴を浴びつつある。
不安センサーが敏感なせいか平均的に僕より1〜2時間半くらい睡眠時間が少ない。
僕は心の底で、
ほらぁ、ちゃんと寝ないから眠くなるんだぞ
って思いながら横でそっとリコーダーを吹いてた。
セイゴさんが起き僕らはダウンタウンへと向かった。
道が奇跡的に下り坂だったから楽勝に5キロの道のりを終えた。
カウチの人の家までは20キロくらい離れてるしバスを使うことにした。
もし僕の日記を読んでて、なんだヒッチだけで移動してないんじゃんって思ってる人が仮にいたら先に伝えておきたい。
僕は人と出会うためにヒッチハイクをしているのであって完全に移動手段や1つのチャレンジなんかでヒッチをしてない。
だからキックで移動出来ない距離はガンガンにバスを使うし、お金を使うことに何も思わない。
たまに無一文だとかお金をいかに使わないっていうことに美を感じてる人がいるかもだけど、僕は全くそう思わない。
てか無一文で旅してますって公にしてる人なんて9割目立ちたいか有名にでもなりたいのか、誰かの真似事してる人なんだろうなって思った。
まず、お前ら本当に無一文で旅してんのかって?
訪ねてやりたいもんだ。
まぁ人それぞれだからどうでもいいんだけどね。
そう言っておきながら沢山の人との巡り合わせでほぼヒッチでここまでこれてるんだけどね。
楽器屋がカウチのホストの家から10キロくらいの所にあることが判明したからまず最初に楽器屋に向かった。
目的はもちろんリコーダーだ。
楽器屋に着くとドキドキしながら中に入った。
一応バス停でワイファイが使えたからグーグルマップのストリートビューを使って店内を散策してみたところ僕のお目当のリコーダーがあったから期待を膨らませて入った。
てかグーグルマップ凄すぎ。。
中に入ってみるとマップと同じ位置にリコーダーはあった。
しかも値段も半端なく安かった。
オーストラリアで買った時は約50ドルもしたのにアメリカだと20ドルだ。
少し得した気分になったけが僕は紛失してるからマイナスでしかない。
リコーダーを手に取りレジに向かおうとしたら僕の横に大量のギターが目に入った。
台湾で友達と一緒に行ったミュージックバーをキッカケにギターを買おうって思ってたけど、今は二人で旅をしているしただでさえ荷物が多いいのにこれ以上はっていう理由で保留してたけど、たまたまスモールギターを見つけて喉から手が出るくらい欲しくなって、一瞬考えたけどセイゴさんに迷ってるのなら買っちゃいなよ?と言われたから即決で買うことにした。
値段はケースも含めて140ドルだった。
初めてのギターで旅するのにも支障が出ないくらいの大きさだから僕にはピッタリだ。
それに僕と音楽は繋がってなくてはならないものだ。
買ってよかったと心から思える。
指が千切れるほど練習してやろう。
その後は再びバスに乗りカウチのホストの家へと向かった。
彼らの家には4人の若者が暮らしているらしい。
家に着くと早速住居人のエーオーが出迎えてくれた。
ホストのシャーロットはまだ仕事で帰ってきてない。
彼から家のことなどの説明を受けた。
まぁ何でも自由に好きような使ってくれとのことだ。
荷物を部屋に運び少しのんびりしてるとエーオーが飯を外で食べに行くから一緒に来るか?との事なので一緒に行くことに。
彼が連れってってくれたのはコロラドにあるオリンピックトレーニングセンターだ。
彼は現在22歳で僕と同い年だ。
大学を卒業してコロラドに引っ越し今はTEAM USAのウエイトリフティングのサポート関係の仕事をここでしてるそうだ。
ここで数多くのオリンピック選手やその候補生達が汗水流して練習してるのかと思うと少し興奮した。
内部を散策した後は選手食堂に連れてってもらった。
選手や関係者のモノは5ドルで利用できる最高のシステムだ。
僕らは部外者なので10ドル払うことに。
それでも安い。
中に入りメニューを見てみると選手の健康を考えたメニューばかりで品数も豊富だ。
それに全て食べ放題である。
アメリカに来てロクなものしか食べてない僕にとってはここが天国に見えた。
思う存分死ぬほど食ってやった。
食べ終わった後は家に戻りシャーロットが帰ってくるまでの間セッションした。
シャーロットの家はガレージをスタジオとして使っているから、ここに沢山の楽器や機材がある。
彼女はバンドを組んで音楽をやっているそうなのでドラムなんかも置いてあった。
ドラムを見つけたセイゴさんの目は普段温厚で優しい草食系から一気に捕食者へと変わったかのような感じでスティックを取りドラムを叩いた。
実はセイゴさんは以前バンドを組んでいて死ぬ気で音楽に命を使っていたという。
だから彼はドラムが叩ける。
それもかなり上手い。
そしてエーオーはハッキリ言って歌が半端なく上手い。
初めて彼の歌声を聴いた瞬間、一瞬鳥肌が立ったもんだ。
半端なかった。。
エーオーの歌とギターにセイゴさんのドラムにシャーロットの彼氏のギター。
僕の入る出番はなく見物してた。
せめてピアノがあればなぁ。。
しばらくしてからシャーロットが帰ってきた。
簡単に自己紹介を済ませただけで分かる。
彼女はクソ性格が良い。
話し方や表情そのどれもが非常に愛想がいい。
僕も話した瞬間に、
あ、この人絶対に良い人だ。
って確信した。
そんな彼女から夜の7時からライブに行くけど来る?なんてお誘いがあったからご一緒することにした。
ライブまでの時間まで少し時間があったから再びセッションすることにした。
彼女とその彼氏の演奏を先に聞かせてもらった。
彼女の演奏に合わせて即興?のピアノで合わせる彼氏。
うん、これがなんとも良かった。
それにセイゴさんのドラムが加わってさらに盛り上がった。
今度は僕たちのセッションを披露した。
何か英語の歌でも歌えば良かったけど、何か違う彼らが見たこと聞いたことのない音楽を見せたくてセイゴさんのドラムビーツに合わせて僕が渾身のフリースタイルを披露した。もちろん98%日本語でね。
以外にも結構ウケた。笑
その後は時間になりライブへと向かった。
地元の人が集まるバーの地下でライブは行われてた。
演奏者は全員アマチュアだ。
最初の人だけうまかったけど、
後は全員ひどかった。
特に顔がエドシーランに少し似ていて演奏する前はおどおどしてた奴は演奏になると急に人が変わりギター片手に弾き語りしてた。
演奏自体は全然下手だし最後のシャウトなんかも酷かった。
ギターの音はどれもちゃんと弦を押さえてなくて音が綺麗になってなかったし、歌も微妙だった。ただ本人はめちゃくちゃ気持ち良さそうに歌ってたからなんか不思議と周りも彼の演奏に耳を貸す。
決してブラボーとまでは言わないけど拍手は送る。
演奏が終わるとやりきった感がプンプン伝わってきて何故かガッツポーズをしてた。
どうやら忘れられない人になりそうだ。
まぁなんだかんだ彼らといい時間を過ごすことができた。
シャーロットと彼氏とエーオーと記念に一枚
10時くらいには家に戻り僕たちは眠りについた。
今日も良い日だった。